Customer Story : マクドナルド
Z世代を惹きつける
オムニチャネル体験の実現
概要:
マクドナルドは、Z世代をターゲットにした新しいビジネスモデルを短期間で市場に投入するため、専任の社内チームと協力し、1年未満で革新的なオムニチャネル体験を設計・構築しました。
インパクト:
CosMc'Sは消費者とメディアから大きな反響を呼び、現在も顧客のフィードバックを活かした迅速なサービス改善を通じて、さらなる顧客体験の向上に取り組んでいます。
ビジョン
マクドナルドは、世界100以上の国と地域で40,000店以上を展開し、常に業界をリードする象徴的なブランドです。多くの競争優位性を確立した企業がコア事業に専念する一方で、マクドナルドの経営陣は、変化する顧客ニーズに対応する新たなアプローチを模索する機会を捉えました。
後に「CosMc's」と命名されたこのプロジェクトは、飲料を中心したメニューで次世代の顧客を惹きつける独自のサービス体験を提供するというビジョンから始まりました。経営陣は、市場からのフィードバックを迅速に取り入れながら、コンセプトの開発を進めたいと考えていました。
CosMc'sの実現にあたり、オムニチャネル戦略の策定とデジタル基盤の構築を支援するため、Slalomは支援を開始しました。
ビジョンを実現するための協働
ストーリーボードから製品ロードマップまで、Slalomはローンチへの道筋を明確にする支援を行いました。Slalomがプロジェクトに参加した時点で、社内チームはメニューのアイデアを進め、ビジネスコンセプトをZ世代にとって魅力的なブランド体験に落とし込む基本方針を策定していました。
CosMc’sのデジタルプロダクトと顧客体験をリードするJosh Wesolowski氏は、4車線のドライブスルー体験のためのサービス設計図を作成し、カスタマージャーニーの各ステップを詳細に分析しました。これは、CosMc’sのクルーメンバー(エクスプローラー)が具体的に何を行い、テクノロジーがどのようにサポートするかといった細部にまで及びます。
「そのドキュメントは、初期段階で共通の理解を深め、整合性を図るのに役立ちました」と同氏は述べています。「そしてSlalomがそれをさらに具体化し、深みを加えてくれました」。ストーリーボードやエクスペリエンスマップでの協働を通じて、両社の統合チームはエンドツーエンドの体験において各タッチポイントがどのように機能すべきかのロードマップを策定しました。
「ナビゲーション付きのカスタマイズ」の設計・構築
顧客体験の検討とともに、メニューも進化し、カスタマイズが重要な要素となりました。プロジェクト全体を通じて、迅速な対応力と柔軟性が非常に重要でした。カスタマイズがCosMc’sブランドの柱となることを念頭に置きながら、主要なメニューの決定が進行中でも、デジタル顧客体験の設計・構築を進めました。
CosMc’sでの体験は、新しいものを試すことを好み、自分の選択をパーソナライズしたい顧客を対象に設計されています。メニューは大胆なフレーバーや組み合わせを考案し、デジタル体験はカスタマイズを簡単に楽しめるようにする必要がありました。
「私たちは、ターゲットとなるお客様全員が好きなものを見つけられるようにメニューを構成しましたが、全員がすべてを好むわけではありません」と、CosMc’sのメニューとマーケティングを担当するSheila Hamilton氏は述べています。「そのため、カスタマイズ方法もその視点で検討しました。」
Slalomは、さまざまなメニューアイテムに合わせてデジタルインターフェースを調整し、最適な顧客体験を提供するために選択肢を整理し、優先順位を付ける支援を行いました。例えば、追加のフルーティー・ポッピングボバが入ったサワーチェリー・エナジードリンクの強烈なフレーバーを好む人は、ブラックペッパーのトッピングやホイップクリームを好まない可能性が高いため、これらのオプションは表示されません。
ナビゲーション付きのカスタマイズに注力することで、CosMc’sブランドの核である「興味」と「満足感」を引き出す体験を設計しました。アプリの使用、メニューの閲覧、オンラインでの注文、ドライブスルーのメニューボードや店頭のキオスクにおいても、オプションの追加・削除は簡単かつ直感的に行え、価格も明確に表示されます。モバイルアプリでは、ロイヤリティプログラムにより特典が提供され、お気に入りのカスタマイズを保存したり、最近の注文を確認できます。そのため、気に入った組み合わせを見つけた際には、ワンタップで再注文が可能です。
すべてのデジタルタッチポイントを連携
両社は細部にわたって協働し、シームレスな顧客体験を創り上げました。ローンチに向けて、私たちは重要な顧客体験の構築と、効果の高いデジタル機能の優先順位付けに集中しました。
Slalomの主な役割の一つは、開発中のウェブサイトやモバイルアプリ(iOSおよびAndroid)だけでなく、POSシステム、店舗のディスプレイ、キオスク、プレセールボード、ドライブスルーのメニューボードなど、他社の技術が関与するコンポーネントも含め、すべての機能と操作が一貫性を持つようにすることでした。また、ロイヤリティプログラム、支払い時の不正防止、メールマーケティング、CRMなどの主要な機能も統合しました。
「私たちはすべてのギャップを埋め、橋渡しの役割を担いました」と、SlalomのソリューションオーナーであるAllie Renkoは述べています。「現場でチームと協力し、ビジョンを共有し、依存関係を管理し、プロジェクトが円滑に進むための意思決定をサポートしました。」
「各チャネルはそれぞれ独自の顧客体験を持っていたため、共通のフレームワークを用いて共有のサービスやツールを開発することに注力しました。これにより、日々の変化にも迅速に対応することが可能になりました。多くの方が、私たちのチームがそれをどのように実現したのか興味を持たれるのではないでしょうか。」
—Dan Managlia、Slalom シニアデリバリープリンシパル
テストと改善、そして継続的なイテレーション
徹底した顧客テストとチャレンジ精神が、イノベーションを支えました。
「CosMc’sチームは顧客調査とテストを積極的に実施していました」と、SlalomのエクスペリエンスデザインリードであるDiana Ahnは話します。「彼らはすでにその準備を整えていました。今回のように意図的に、特に短期間で行うことは非常に稀です。」
テストは、初期デザインのプロトタイプに対するフィードバック収集、模擬ドライブスルーの設置、注文後の顧客への同行インタビューなど、多岐にわたりました。Josh氏にとって、異なる段階での繰り返しテストは、明確なビジョンと、部門横断的に協力しながら目標に集中したチームとともに、プロジェクトを迅速に進める鍵となりました。「早い段階でテストを行い、その都度得られた洞察に基づいて行動することで、非常に短期間で多くのことを学ぶことができました。」
学習への強いコミットメントが、プロジェクト全体を新たな挑戦へと変えました。「固定観念や既成の答えにとらわれることはありませんでした」とMiheer氏は付け加えます。「私たちは何でも質問し、挑戦する自由がありました。」