データがもたらすより深い洞察

Amazon Marketing Cloud (AMC) は、Amazonのプラットフォームや広告主、外部サードパーティのデータをプライバシーに配慮した形で安全に統合・分析できるクリーンルームソリューションです。Slalomは、このAMCを活用してオーラルBの1年分の広告キャンペーンデータを精緻に解析し、以下のような主要論点を導出しました。
 

• 最も高いパフォーマンスを発揮している広告フォーマットとオーディエンスセグメント
• 表面的な指標に加え、ユーザー行動や購買までの経路分析、より詳細な顧客セグメンテーションの把握
• キャンペーンの過去実績を踏まえた、実際に行動可能な施策の創出

こうした分析のプロセスについて、SlalomのカスタマーデータコンサルタントであるAbby Placidoは、「単に過去の実績を振り返るだけでなく、より効果的かつ効率的なキャンペーンを構築するためのソリューションを導くことが重要でした」と述べています。

さらに、この取り組みを通じて特定された具体的なユースケースとしては、以下のような例が挙げられます。
 

• 「Frequency Cap」の設定による、同一ユーザーへの過度な広告表示の防止
• 同一キーワードで複数の広告が競合しないようにするキーワードの整理・重複排除

このようにAMCを活用することで得られる包括的な分析手法について、P&GのオーラルB部門デジタル＆eコマース シニアブランドマネージャーであるCeleste Burke氏は、「AMCを活用した分析は非常に包括的かつ正確で、私たちのビジネス上の疑問に対して明快な示唆を得られました」と高く評価しています。

早期に得られた成果

今回の新しい戦略では、導入後すぐに効果が現れました。具体的には、広告を見たユーザーのうち、56%が広告接触後24時間以内に購入に至ったのです。さらに、4種類ある広告フォーマットを横断してターゲットを最適化した結果、新規売上の63％が広告を視聴した顧客によってもたらされました。また、この分析を通じて、オーラルBにとって新しい価値を創出する潜在的顧客層も発見できました。

ターゲティングの正確さも証明されており、広告を見たユーザーからの売上がAmazon全体売上の82％を占め、そのうち54%は初めてブランドを利用した新規顧客でした。また、広告を視聴した後にブランド名で検索したユーザーによる売上が68％に達している点も注目すべき結果です。

さらに、顧客体験が向上したことも大きなポイントです。関連性の低い広告を大量に見せるのではなく、顧客に合った商品を適切なタイミングで提示する仕組みを整えたことで、ショッピング全体の満足度を高めることに成功しています。

グローバル連携がもたらす変革と今後の展望

本プロジェクトは、着手から完了まで2カ月を要さないスピード感で進められました。Slalomのグローバルチームは時差を活用して24時間体制でプロジェクトを推進。「朝起きるとオーストラリアのチームから更新が来ていて、業務時間が連続しているようでした」と、Slalomのカスタマー戦略コンサルタントであるDrew Myersは語ります。こうした国境を越えた連携によって、短期間ながらも高品質を維持し、スムーズにプロジェクトを完遂しています。

さらに、データに基づくインサイトを活用し、広告キャンペーンを戦略的に最適化することで、オーラルBのマーケティングチームはオンライン基盤を一層強化しています。「分析から得られたインサイトは、実際のアクションにつながる具体的な提案が多く、これからのビジネスを前進させるうえでも大いに活用できると感じています」と、P&GのオーラルB部門 デジタル＆eコマース シニアブランドマネージャーであるCeleste Burke氏は述べています。この取り組みによって、P&Gはさらなる進化へ向けた礎を築き、変化の激しい市場でも競争力を維持する体制を整えました。

※こちらのページは、米国でリリースされた「Turning Amazon ads into sales with data-driven strategies」の抄訳版です。