AI時代に勝ち残るための変革の舵取り
5-Minute Read | October 2023
概要
AIの進化によって業界の構造や顧客のニーズが急速に変化する中、既に多くの企業がAIを前提としたビジネスモデルやサービスの再設計を進める一方で、乗り越えるべき課題にも直面しています。Slalomが企業のビジネスリーダーを対象に行った最近の調査では、経営陣内のリーダーシップの視点の相違点や類似点が明らかになりました。本ページでは、企業がAIを有効に活用するためにフォーカスすべき点を解説します。
かつては、事業戦略はCEO、テクノロジーはCIOが主導していましたが、今私たちはビジネスとテクノロジーがより密接に連携、一体化することが求められる重要なターニングポイントにいます。今日のすべてのビジネス上の議論はテクノロジーが不可欠であり、あらゆるテクノロジーの進歩はビジネスの成果に深く根ざしています。企業がAIを活用して競争優位を築くためには、全てのビジネスリーダーには果たすべき役割があり、成功のためにコラボレーションと健全な反対意見が必要とされています。
調査結果には、“AIネイティブ”な組織では、人間らしいスキルセットが必要であること、つまり非常に人間的なアプローチが必要であると強く認識されていることが書かれています。AIの急速な進化には、現在のテクノロジーに精通し、人間と機械の新しい関係性に適応できる俊敏性を備えた人材が必要です。
また、調査対象となった企業の約61%が、AIを活用した変革を全社で推進、26%が段階的に推進していると回答しています。AIは2024年、そしてそれ以降も企業にとって戦略的な優先事項であり続けるでしょう。
本レポートでは、2023年第3四半期に調査した200名を超える米国の企業のビジネスリーダーからの洞察を抽出し、ビジネス戦略とテクノロジーにおけるSlalomの経験を組み合わせ、現在の認識と今後の進め方を分析します。AIへの取り組み状況に関わらず、本調査および記載されている推奨事項は、今後の準備や実装、そして最も重要な点として、多くの企業における変革の実現を支援することを目的としています。
主要テーマ
- AIへの対応力を測る新たな尺度は「適応性」
- AIを活用したビジネスにおいて「創造性」が最上位のスキル
- 2024年は、大多数の企業がAIに対する投資を拡大予定
AIへの対応力を測る新たな尺度は「適応性」
適応性を備えた組織は、テクノロジーの変化にも迅速に対応することができます。AIの文脈においては、新しいアルゴリズムを迅速に統合し、AIを活用したアウトプットに合わせてビジネスプロセスを再設計し、AIの可能性を引き出すために従業員のスキルを継続的に向上させることを意味します。
しかし、自社のAIに対する適応性について評価するよう求められた時、多くのビジネスリーダーはまだ改善の余地があると課題を指摘しました。
CEO / CIOの自社のAIへの適応性に対する信頼度 *説明:ビジネスリーダーはAIへの適応について多様な認識を持っています。多くの人がAIに可能性を見出す中、自社の準備に自信を持つグループがある一方で、改善領域を認識している旨の回答も寄せられました。
適応性がなければ、AIでさえもすぐに陳腐化し、変革の妨げになる可能性があります。リーダー達によるこの信頼度は、AI活用に関する広範な議論を反映しており、ほとんどの組織が試行錯誤と成功を重ねながら変化の時代を乗り越えていることを示しています。
AIを活用したビジネスにおいて「創造性」が最上位のスキル
多くの企業は、AIを活用したビジネスで成功するために必要な適応性と柔軟性を備えた人材を見つけるための支援を必要としています。これは、重要なAIの取り組みですらスタックする可能性がある課題です。
本調査において、AIが働き方を進化させ続ける中で最も必要とされるスキルについて尋ねたところ、調査対象のリーダー達が挙げたのは技術的な能力ではありませんでした。「創造性、イノベーション、未来思考」が最も多い回答であり、次に「批判的思考と問題解決」が続き、これまでよりソフトスキルとして考えられていたものが強く支持されていることを示しています。
AIを活用したビジネスで求められるスキルTop 5
*説明:AI を活用したビジネスで最も重要なスキルには、創造性、イノベーション、未来思考 (52%)、批判的思考と問題解決 (46%)、デジタル リテラシーと技術的熟練度 (43%)、ソフトウェア開発とエンジニアリング (37%) 、認知の柔軟性と学習の機敏性 (35%) が挙げられており、技術的な専門知識と人間的な資質を持ち合わせた人材が求められていることが表れています。
デジタルやテクノロジーに焦点を当てたスキルは、3番目と4番目に重要なコンピテンシーとして挙げられました。また、5番目には「認知の柔軟性と学習の俊敏性」、つまり新しい概念やツールを学ぶ能力が注目されています。
これらの洞察は、将来に向けた適応性と問題解決に対する包括的なアプローチが必要であることを強調しています。
2024年は、大多数の企業がAIに対する投資を拡大予定
AIはもはや“あればいいもの”でも、一部の革新的な企業だけのものでもありません。全ての企業が競争力を高めるために不可欠です。調査対象となった企業の約70%は、2024年にAI投資に向けて予算、従業員の時間、トレーニング、そしてテクノロジーインフラストラクチャなどのリソース拡大を計画しています。
AIに対する2024年の投資計画
*説明:ほとんどの企業は2024年にAIへの投資を増やすことを計画しており、将来の競争戦略においてAIが重要な役割を果たしていることが浮き彫りになっています。
AIは様々な業界の企業の重要なトピックかつ焦点となっているため、この投資の優先順位づけは非常に重要です。
終わりに
AIを活用したビジネス変革の議論は、今後何年にもわたって広まり続けるでしょう。AIによって実現される「AIネイティブな組織」は私たちの新たな常識であり、多くの企業が注力すると考えられます。
ビジネスリーダーが意見の相違を認識し、事業を共に成功させるためにより深いコラボレーションを求めることが極めて重要です。私たちはAIの将来がまだ定義されていない岐路に立っていますが、可能性は無限です。これは転換点であり、今日の意思決定によって、何年にもわたり企業の競争優位性を確立するとともに、テクノロジーランドスケープを形作ることができるでしょう。
Slalomは、業種ごとに蓄積された豊富なユースケースをもとに、世界中の企業でAIのビジネス価値を引き出すことを支援しています。現在の事業における課題や検討事項に関するご相談・ご質問など、詳細は以下のフォームにてお問い合わせください。
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